昨年4月、違法賭博の処分を受けた。6月まではラケットを握らない生活。先が見えない中でも引退を考えたことはない。逆に「羽根をつくのが好きだ」との思いが募った。練習を再開すると、技術に頼り切った過去の自分を反省。嫌いだった走り込み、筋トレの量を増やした。「支えてくれた皆さんのために頑張る。中途半端ではだめ」と肉体強化に励んだ。

 昨年10月からは各地のバドミントン教室に参加。小学生から「東京五輪で金メダル」との手紙をもらうなど交流を深めた。1月、チームで今年の目標を出し合った。「子供たちに競技の楽しさを伝えるなど社会貢献をしたい」と自らの復帰の件は触れなかった。バドミントンができることへの幸せと感謝の気持ちが心の成長を促していた。

 「あきらめない姿勢など、コートの中、外での立ち居振る舞いで、信頼回復をしていきたい」。復帰戦では衰えぬ技術を披露し、3キロ減の肉体にスピードアップを実感した。不祥事でどん底に落ちた22歳は、心技体をそろえた「ニュー桃田」になって戻ってきた。【田口潤】

 ◆賭博問題経緯 昨年4月6日、桃田、田児の違法賭博が判明。同8日にNTT東日本から田児が違法カジノ店で約1000万円負けたこと、桃田も約50万円負けていたこと、バドミントン部の他6人も賭博行為を行っていたことが発表された。日本バドミントン協会は、田児に無期限登録抹消、桃田に無期限競技会出場停止、他6人に6カ月か1年間の出場停止。NTT東日本は田児の解雇、桃田の出勤停止30日、部の半年間の対外活動自粛などを科した。日本協会は今年3月に桃田の反省と更生を考慮し処分解除を決めた。