ホンダはドイツの「AutoBIld」誌(電子版)が11日にザウバーとの2018年以降のパワーユニット供給契約を解除したと報じたことに対し、この報道を否定した。

 両者は昨年10月から交渉を開始し、今年4月に契約を締結。来年度から複数年のパワーユニット供給契約を交わした。しかし交渉の中心的存在であったザウバーのモニシャ・カルテボーン代表が6月22日に解任されたのを受けて、ホンダ側から解約を申し入れたと同誌が報じた。ホンダは「ザウバーの関係には変化はない。今回の件はメディアの臆測であり、ホンダとしては臆測に対してコメントすることはない」とこれを否定し、同社から契約解消を申し入れた事実もないという。

 カルテボーン代表の解任直後には、長谷川祐介F1総責任者が「契約そのものの詳細についてはお話しできませんが、基本的にはザウバーとの契約ですから人が変わったからといって何かが変わるわけではありません。モニシャさんとはずっと話をしてきましたから、彼女がいなくなってしまうというのは寂しいですけどね」。ザウバーとの契約に変更はないとしていた。

 さらにマクラーレンとの関係悪化がうわさされ、ホンダとの提携解消や一時的なホンダ以外のパワーユニットへの変更といううわさも報じられたが、ホンダのF1活動を取り仕切るモータースポーツ部の山本雅史部長はこれも全面否定した。

 山本雅史部長 マクラーレンとの話は継続を基本として、常にレースに対してポジティブに臨んでいます。いろんなうわさ話は僕も耳にしていますが、そういった話は現時点ではありません。提携解除も一時的なパワーユニット変更もありません、完全否定します。私たちとマクラーレンの間には契約がありますから、マクラーレンもそれはできませんし、私たちともそんな話はしていません

 また、先頃にはウイリアムズとの交渉が報じられたが、山本部長は「ウイリアムズとの契約は全くありません。僕は会ったこともないし、はっきり言うと我々としても興味はありません」と、これも完全に否定しマクラーレンとの提携関係を最優先に考えるとしている。

 根強く囁かれるF1撤退のうわさについても否定し、八郷隆弘社長をはじめとしてホンダとして強いコンセンサスを持ってF1活動に取り組んでいると強調した。

 山本部長は「撤退もありません。僕は八郷(隆弘)社長やボードメンバー(役員)とも常に話をしていますが、ホンダとして基本的に撤退という文字はありません。うわさに振り回されることなくホンダのチャレンジスピリットでレースを遂行する部隊をしっかりと強化していくことがホンダらしさだと思っています」と話した。【米家峰起通信員】