20年東京五輪を目指す日本ハンドボール界に、超新星が現れた。日韓戦(29日・駒沢体育館)を控えた日本代表が21日、都内で練習を公開。高校生ながら合宿参加する福岡・博多高3年の部井久(べいぐ)アダム(18)が強烈なシュートで試合出場をアピールした。

 ゲーム形式の練習、194センチの長身から打ち下ろしたボールがゴールネットに突き刺さる。「シュートは得意。いいところを出せたと思う」と笑顔。2年ぶり代表復帰の「ミスターハンドボール」宮崎も「シュートの強さは代表でも1番。僕の半分の年齢なのに、すごい」と舌を巻いた。

 高校卒業後は、欧州クラブ入りを目指す。大学からの誘いは多いが「東京五輪まで2年、世界と戦うためには大学でやるよりも海外に行く方がいい」。パキスタン人の父イルファンさん(50)は17歳で来日し、苦労の末に貿易業を軌道に乗せた。「父にはいろいろなことを教わった」と、あえて大学に進まず本場に身を投じる決意を口にした。

 25日には、日韓戦の代表18人が発表される。フィジカルが重要な競技で、男子の日本代表戦に出場した高校生は「いないと思う」と田口強化本部長。「試合に出て、1点とりたい。東京五輪への弾みになる」と、部井久は初の高校生代表デビューを目指して話した。【荻島弘一】

 ◆部井久(べいぐ)アダム 1999年(平11)4月21日、福岡県生まれ。小5の時に福岡県タレント発掘事業に参加し、7つの競技で最高ランクのS評価を獲得。「おもしろそう」と、ソフトボールをやめて福岡・多々良中央中でハンドボール部入り。U-16から年代別代表を経験し、今合宿で初のフル代表入りを果たした。パキスタン人の父と日本人の母、姉、妹の4人家族。194センチ、90キロ。