シンクロナイズドスイミングのチーム・フリールーティン(FR)決勝で日本(乾、中村、中牧、阿久津、福村、林、丸茂、小俣)は、93・1000点の4位に終わった。これで五輪採用4種目でメダルはチームTRの銅だけ。世界3位で臨んだ今大会はロシア、中国の牙城を崩せず、ウクライナに1勝3敗と反撃される形となった。井村雅代ヘッドコーチ(HC、66)は、大型選手をそろえるチームに変更する考えを示した。

 選手たちは涙をこらえられなかった。エース乾が目を赤くし、丸茂が涙をこぼす。林が号泣し、19歳の阿久津はスタッフに支えられ会場を出た。五輪で実施される4種目のうち、ウクライナを上回ったのは1つだけ。この結果を受け、井村HCはチームにメスを入れる考えを口にした。

 井村HC はっきり言って(選手が)大型化しないとだめ。今日のリフトも高さはあったが、本当に大きな子をそろえるべき。

 新生マーメイドジャパンは昨秋に発足したばかり。最年少の19歳阿久津は、井村HCの指導に「最初はびっくりして…。『どうして怒っているんだろう』と言葉が頭に入らなかった」と振り返る。そんな新加入6人を、井村HCは辛抱強く指導してきた。現在の12人で身長170センチ前後は乾、中牧、阿久津、福村だけ。デュエットFRに身長169センチの中牧を起用したように大型化は狙いの1つ。選手の発掘に成功すれば、チームで1、2人の入れ替えもあり得る。

 五輪後初の世界大会。遠征には12年ロンドン五輪体操男子監督の立花泰則コーチが初めて同行した。リフトや体の使い方を選手たちにアドバイス。井村HCは「日本の体操男子は世界一です。学ぶところがいっぱいある」。猛練習だけではなく、新しいものも貪欲に吸収している。それだけに「今日のイベント(チームFR決勝)ではないが、全体的にジャッジがひどすぎる。いいものには点を上げてほしい。シンクロのスポーツとしての価値がなくなる」とも言った。ブダペストでの屈辱を、20年東京五輪へのエネルギーにする。【益田一弘】