【ブダペスト22日=益田一弘】水泳世界選手権の競泳が、今日23日に始まる。4月の日本選手権で女子初の5冠を達成した池江璃花子(17=ルネサンス亀戸)は6種目にエントリー。リレーを含めると最大8種目に出る可能性がある。昨夏のリオ五輪は100メートルバタフライで日本新3連発の5位入賞。「スーパー高校生」から競泳女子のエース格へ。20年東京五輪への戦いが始まる。レースを前に活躍が期待される選手を「先取り!!ヒーロー/ヒロイン」として取り上げる。

 わずか8ページの学校通信が心に火をつけた。母校の淑徳巣鴨通信NO・70(16年10月8日発行)。半年に1度の小冊子はリオ五輪応援観戦会を伝えている。

 池江 家のトイレに置いてあって「3位までわずか0秒23差」と書いていて。いつもトイレに入ってそれを眺めて「すごく小さな差だなあ」と思って、じわじわと悔しさが湧きます。

 自宅のトイレに本を置く習慣はない。昨年のトロフィーや賞状はすべて衣装ケースの中だ。学校通信だけが例外で「なぜあるか、わからないんです。(親の)作戦かもしれない」。幼児教室の代表を務め、娘を雲梯で鍛えた母美由紀さんは「まあ1冊ぐらいは。おなかが痛い時にいいのかなあ、なんて」と笑っていう。

 五輪は100メートルバタフライで日本新3連発。56秒86で5位に入り「(満足度は)90%を超える」と喜んだ。一方、村上コーチは「目標は決勝。終わってみて、初めてメダルの可能性があったかなと」。決勝の前半50メートルは26秒81。予選は前半26秒45で後半失速も26秒60ならば可能だったかもしれない。0秒20短縮できれば、表彰台もありえた。池江は「前半26秒60で入っていたらどうだったろうね」と村上コーチに言われ「あー、そうだったのか」とメダルの可能性に思い至った。

 昨年5月、五輪前に東京都豊島区役所を表敬訪問した際、タクシーの車内から繁華街を見て「(若者が集う池袋)サンシャイン通りを歩きたいなあ」とつぶやいた。それから1年。日本選手権女子初の5冠を飾り、ブダペストでは世界大会初メダルが目標。「スーパー高校生」から競泳女子のエース格へ。新しい挑戦が始まる。