ザウバーF1チームは24日、ハンガリーGP後の8月1~2日に同地ハンガロリンクで行われるF1合同テストに松下信治を起用すると発表した。松下はテスト2日目の8月2日にドライブを担当する。

 23歳の松下はこれまでマクラーレンのシミュレーター開発業務を担当しておりシミュレーター上での最新型F1マシン経験やヒストリックF1マシンの実車経験はあるものの、最新型F1マシンの実車ドライブはこれが初めてとなる。

 2017年のF1はシーズン中に計4日間のインシーズンテストがあり、各チームはうち2日間はF1参戦経験が2戦以下の若手ドライバーを起用しなければならない。コスト抑制のため厳しいテスト規制が定められている中で、若手ドライバーにF1走行機会を提供する意味合いで設けられた規定。

 松下は自身初のF1テストに際し、以下のように述べている。

「F1でレースをするミハエル・シューマッハーを見て憧れていた4歳の頃から、F1ドライバーになることが僕の夢でした。初めてのF1テストドライブにとてもワクワクしていますし、ハンガロリンクでザウバーC36をドライブするのがとても楽しみです。僕にとっては素晴らしい機会だと思っています。僕にとってもチームにとっても実りのある1日になることを願っています。そして僕としても可能な限り多くを学びたいと思います。このチャンスをくれたサウバーF1チームに感謝しています」

 松下はホンダの若手育成プログラムHFDP(ホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト)の一員として2015年からF1直下のFIA F2選手権に参戦し、今季はここまで6ラウンド12戦を終えて1勝を挙げランキング7位。ランキング3位以内に入れば来季のF1デビューに向けて必要とされるスーパーライセンスの取得が可能になる。

 ザウバーはホンダと2018年以降のパワーユニット供給について合意していたが、現在両者はこの提携解消に向けて協議中。しかし松下のF1テストについては個別の契約で、純粋な経験の蓄積と腕試しの意味合いを持っている。松下にとってはここで実力を証明することが重要になる。

 ザウバーへのパワーユニット供給は、ホンダにとって日本人ドライバーのためのシート確保という意味合いもあったが、仮にこの提携が解消されたとしてもホンダとしてF1ドライバー輩出を目指した若手育成プログラムの計画に変更はないという。山本雅史モータースポーツ部長は「ホンダがモータースポーツをやっている中で、F1やMotoGPといった二輪四輪の頂点レースに日本人を走らせたいという気持ちが強くあります。ですからヨーロッパでの育成プログラムにも変更はありません。ザウバーとの提携がどうなろうと彼らにはスーパーライセンス取得に対して全力で頑張ってもらいたいと思っています」と語っている。(米家蜂起通信員)