大橋悠依選手(21=東洋大)が女子200メートル個人メドレーで銀メダルを獲得しました。世界の舞台で自己ベストを2秒も縮めるのは本当に素晴らしい。準決勝が終わったときも「ワクワクする」とコメントしていたので、期待していました。

 大学4年、21歳での世界選手権初出場で、競泳界では「遅咲き」と言われる年齢です。成長の要因は、周囲の環境にあると思います。東洋大では平井コーチの指導のもと、北島康介選手、萩野公介選手ら五輪メダリストとともに練習してきました。明るい性格の奥底にある闘争心を、うまく引き出してもらったのではないでしょうか。

 4月の日本選手権と比べて体が大きくなっています。もともと身長も高い(173センチ)ですが、泳ぎに力強さが出てきた印象があります。決勝では焦ることなく得意の背泳ぎを少し抑えて、後半の平泳ぎ、自由形で力を出し切るレースができていました。

 快挙の裏には、5位に入った今井月選手(16=豊川高)の存在もあると思います。2人で決勝に残ったのは心強かったでしょう。互いに「頑張りたい」という気持ちが高まったはずです。私が日本代表だった時も、女子背泳ぎは寺川綾さんや中村礼子さんらがいて、必ず決勝に2人の日本人選手が残っていましたから。

 大橋選手は得意の400メートル個人メドレーも残っています。メダル2個獲得となれば、今後は女子のエースとして日本代表を引っ張っていく存在になるかもしれません。そんな予感のするレースでした。(伊藤華英=北京、ロンドン五輪代表)

 ◆伊藤華英(いとう・はなえ)1985年1月18日、埼玉県生まれ。08年北京五輪で背泳ぎ2種目出場、12年ロンドン五輪は自由形リレー2種目出場。12年秋に現役引退。順大大学院博士後期課程修了。日大非常勤講師。173センチ。