卓球世界選手権で史上最年少ベスト8の張本智和(14=エリートアカデミー)がケガのアクシデントを乗り越えた。21日、羽田空港からワールドツアー、チェコオープンへ出発。5日のプロリーグ、アジア太平洋リーグ(マレーシア)の水谷隼戦で右手を裂傷し、途中棄権。心配されたが「4、5日で普通に練習できました」と問題なしを強調した。

 まさかのアクシデントは水谷戦で起きた。金星を挙げた6月の世界選手権以来の再戦。五輪銅メダリストへの勝利が「まぐれとは言われたくない」と気迫に満ちあふれてコートに入る。一時は3-1とリード。だが、3-2で迎えた第5ゲームで、台とギリギリの高さの球を打ち返すとき、右手を台にぶつけた。親指からの流血は激しく、途中棄権となった。

 会場内は一時騒然となるほどの流血。それでも、14歳の怪物中学生は「大騒ぎになったのに、大したケガでなくて申し訳ない。もうちょっと大ケガの方が良かったかな」とジョークを交えながら、何事もなかったように平然と言った。2、3日はトレーニングに専念も、その後は通常の卓球練習を再開。中学生では当たり前の夏休みは返上で卓球漬けの日々を送った。

 下半期の目標は現在20位の世界ランクを1桁に上げ、ワールドツアーで初優勝すること。「チェコオープンではシングルスとダブルスで優勝を狙う。優勝したら(まだ残る)夏休みの宿題へのやる気も出る」。ケガにもまったく動じない14歳の勢いは下半期も止まらなそうだ。