決勝で切れ味のあるタックルを繰り出し、金メダルを引き寄せた18歳の奥野春菜(至学館大)は三重・久居高を経て、至学館大(旧中京女大)に所属するレスラー。攻撃的なファイトスタイルも進学先も同じ吉田を追いかけて成長し、階級区分の変更以前に「最強女王」吉田が10年以上も君臨した55キロ級で頂点に立った吉田2世だ。

 吉田の父、栄勝さんが主宰した一志ジュニア教室で2歳半からレスリングに親しんだ。タックルなどの技術だけでなく「私生活のことの方が厳しく教えられた」。2014年に急死した栄勝さんの教えが「闘志なき者は去れ」。初出場の大舞台で外国勢に果敢に立ち向かった。

 奥野は「いろいろといる理想の選手のピラミッドの頂点にいるのが(吉田)沙保里さん」と憧れる。02年に20歳で初めて世界一に輝いた吉田が「私よりチャンピオンになったのが早い。後に続いてきてほしい」と期待する新星だ。