トランプ米大統領がプロフットボールNFLの試合で国歌斉唱の際に人種差別に抗議するため片膝をついたまま起立しない選手を口汚くののしったことを受け、全米各地などで24日開かれたNFLの試合で、多くの選手やオーナーらが国歌斉唱の最中に片膝をついたり、腕を組んだりして抗議の意思を表明した。

 トランプ氏は24日、ツイッターで「腕を組むのはいいが、膝をつくのは容認できない」と反発。記者団には「人種問題とは関係ない。国家への敬意を払わなければならない」と語った。米国で最も人気のスポーツ、NFLの選手らと大統領が応酬を続ける異例の事態になっている。

 22日の南部アラバマ州での演説でトランプ氏は、抗議の意思を示す選手について「NFLのオーナーに『そのろくでなしをつまみ出せ。クビだ』と言いたくないか」と指摘。23日にも「国歌斉唱で起立しないならおまえはクビだ」とツイッターで怒りをぶちまけた。

 これに対し、トランプ氏の友人で強豪ペイトリオッツのオーナーのクラフト氏は「大統領のコメントに深く失望している」とツイート。トランプ氏の大統領就任式に多額の寄付をしたジャガーズのオーナー、カーン氏も選手と腕を組んで抗議の意思を示した。

 発端は昨年8月、当時フォーティナイナーズ(49ers)のキャパニック選手が「黒人や有色人種を虐げる国に敬意は払えない」と主張し、片膝をついたことだった。米国では白人警官による黒人への暴力が社会問題化している。