14年ソチ五輪金メダリスト羽生結弦(22=ANA)が、SP94・85点で2位につけた。首位は100・54点の首位ネーサン・チェン(米国)。21日のフリーで、試合では初となる4回転ルッツを入れて逆転優勝を狙う。

 冒頭の4回転ループの着氷で乱れ、連続ジャンプでも尻もち。ジャンプのミスが重なり、9月のオータム・クラシックで更新した112・72点の世界最高点より17・87点も低い点数となったが、羽生の表情は明るかった。演技を終えると笑いながら転倒した場所を指さした。「悔しい気持ちももちろんありましたけど、集中してやれることはできた。GP初戦という緊張感はありましたけど、バタバタした感じではなく、いいコントロール状態に置かれた演技だった」。笑顔の理由を冷静に振り返った。

 「感覚は悪くない」。すぐにジャンプを自己分析した。最初の4回転ループは回転不足だったが「軸の作り方は問題なかった」。連続ジャンプは4回転トーループを跳んだ後、本来であれば両手を上げて3回転トーループを跳ぶはずだったが、とっさにやめた。「スピードが足りなかった。ちょっとした迷いです」。

 今季初戦のオータム・クラシックでは、違和感のあった右膝を守るため、4回転ループを回避。代わりにより難度の低い4回転サルコーを入れた別の構成で臨んだ。今季、4回転ループを入れて初めての試合で「いろんな修正点が見つかりつつ、明日につながるいいステップになった」と、悔しさの中でもミスを前向きに捉えた。

 21日のフリーでは、初めて4回転ルッツに挑む。「誰もがルッツを期待すると思うし、僕自身もルッツを決めてノーミスをすることを期待して明日に向けて過ごす。その気持ちに逆らわず、期待とかプレッシャーを受け止めながら自分が思いきってできるように、またコントロールして、調整して、勝ちに向かって貪欲に頑張りたい」。攻めて、楽しんだ先の勝利を見つめた。