SP2位の羽生結弦(22=ANA)は、フリーで195・92点、合計290・77点のシーズンベストで強烈な追い上げをみせたが、SP首位のネイサン・チェン(18=米国)に3・02点届かず2位に終わった。

 収穫と課題が詰まった濃密なフリー演技だった。平昌(ピョンチャン)五輪を見据えて、GP初戦の冒頭で果敢に高難度の4回転ルッツに挑戦し、着氷で粘って成功してみせた。

 「(シーズンに向けて)挑戦しに行ったが、結果としてミスになってしまっているので、自分の弱さだなと思います。(4回転ルッツに加点も)完璧なジャンプではないが、まだまだいいジャンプが出来たと思う。昨シーズンから積み重ねているループジャンプがショート、フリーともに入っていないのが残念。ルッツに今回は集中していたのはあるが、練習が足りないなと思った。(五輪には)1つ1つステップアップしていかないといけない。過去の事とかは比較する気はないが、とにかくいつもより前進しているなという感覚はあるので、シーズン後半に向けて1つ1つクリアしていきたい」。

 4回転ルッツにいきなりの加点もついたが、世界最高記録保持者の目指す完成像には、少しも届いていない様子だった。

 「(プログラム曲の「SEIMEI」には)まだまだ、いっぱいいっぱいです。自分の本来の演技内容ではないので、悔しい思いがありますし、まだまだだと思う。これから努力を重ねていかないといけない。(五輪シーズンに)悔しいですし、悔しい思いと収穫あった思いの両方あったので、これからもっと成長していけると思いますし、どんどんつなげていきたい。楽しみながらスケートをやっていきたい」。

 ソチ冬季五輪金メダリストが時折みせた笑顔の中には、平昌五輪へのプレッシャーやライバルとの戦いよりも、フィギュアスケートの持つ本来の技や競技の奥深さへの追求、進化する自分への期待感に満ちあふれているようにみえた。

 羽生は次回、第4戦NHK杯に出場予定。