女子1000メートルで、中長距離のエース高木美帆(23=日体大助手)が国内記録を0秒19更新する1分14秒89で初優勝した。マススタートも制し、1500メートル、3000メートルと合わせ、4冠を達成。1000メートルでも来年2月の平昌五輪でメダルを狙える位置にいることを証明した。

 記録を確認した高木美は、派手なガッツポーズで喜びを爆発させた。スタート1歩目で「失敗した」と右足が抜けるアクシデントも、慌てない。持ち味の大きな滑りでラップを刻み、短距離を主戦場とする選手を圧倒した。昨季の世界距離別選手権で銀メダルを獲得した小平が持つ国内記録を更新し、1000メートルでも世界と戦えることを証明。「15秒を切れたのは大きい。改善点もたくさんあるし、まだまだいける」と力強くうなずいた。

 「オールラウンダー」の系譜を受け継ぎ、五輪に挑む。500から5000メートルまですべてを滑り、92年アルベールビル五輪1500メートルで銅メダルを獲得した日本連盟の橋本会長から、多種目に取り組むことが得意種目につながるとアドバイスを受けてきた。3レースを制すると、「3000は滑りの伸び、1000はスピードを出した時に慌てない感覚をつかめる。それが1500につながる」とぶれない姿勢を強調した。

 まさかのソチ五輪落選から4年。11月からは世界の強豪としのぎを削るW杯が始まる。成長を続ける23歳は「まだ国内しか戦っていない。この結果をうのみにせず、次に進んでいきたい」と言葉に力を込めた。【奥山将志】