【モスクワ22日=高場泉穂】フィギュアスケートの羽生結弦(22=ANA)がグランプリ(GP)シリーズ初戦のロシア杯2位から一夜明け、平昌五輪後の試合でクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に挑戦し、現役を続行する意欲を示した。前日のフリーで4回転ルッツを成功させたばかりで、まだ誰も成功していない大技達成の夢を語った。まずは男子シングル66年ぶりの五輪連覇を目指し、その先もフィギュア史に残る偉業に挑む。

 羽生は来年2月の平昌五輪の先も見ていた。前日のフリーでは完璧な演技はできなかったが、4種類目の4回転ジャンプ、ルッツを試合で初めて成功。自身最高難度だった。一夜明け会見で、前日に見せたルッツを含む4回転5本の構成は自身にとって「マックスか」と問われ、こう答えた。

 羽生 いつ辞めるかは、全然決めていないので、将来的には(クワッド)アクセルをやりたいなと思っています。マックスではない。まだまだ自分の中で、限界とは思えていないです。

 競技会でやるかの質問にも「はい」と肯定。「さすがに平昌五輪前は厳しいと思うんですけど、そこはいろいろ考えつつ」。五輪後の試合に出場すること、クワッドアクセルに挑むことをともに初めて示した。

 幼い頃からソチ、平昌の五輪2大会で金メダリストとなった後に引退し、プロになることが夢だった。4月には「今は考えていません」と進退を白紙にして五輪に向かうとしていたが、気持ちに変化があった。

 練習で挑んでいるクワッドアクセルはまだ成功していない。「足首への負担が大きなジャンプなので、練習はしてる段階にも入っていないのかな。遊びです」。実戦投入の段階ではなく、今は4回転ルッツを入れたフリーを完成させることに注力する。前日の演技を映像で見返し、完成度は「5%」と反省。「五輪の緊張感は身に染みて感じています。その中で難しいジャンプを跳ぶには自信を持っていかないといけない。いいイメージをつけたい」とGP次戦のNHK杯(11月10日開幕、大阪)での完璧な演技を約束した。