ショートプログラム(SP)で10位と出遅れた本田真凜(16=大阪・関大高)がフリー125・64点の合計178・24点で5位に入った。1番滑走で今季の新プログラム「トゥーランドット」を披露。冒頭の3回転ルッツ成功で流れに乗ると、大きなミス無く演技をこなした。

 終了間際には地元カナダのファンから歓声が上がり、最後はスタンディングオベーション。前日27日のSPは52・60点と振るわず「本当に情けない演技をしてしまった」と振り返ったが、一夜明けて「ショート(SP)が悪くても、フリーで自分の演技に集中するっていうのが、一番の収穫になった」と笑顔が戻ってきた。

 前日はホテルに戻ってからも、頭の中で失敗を引きずった。「午前中に試合が終わったので、悔しい時間もすごく長くて。ちょっと寝ようと思って、起きても起きても、まだ夜で…。どういう演技をすればいいのか、どう切り替えればいいのかを悩みました」。この日の午前6時からの練習でも、スイッチの入らない状態だった。フリーへと切り替えられたタイミングは「いつか分からない」。それでも「自分で逃げずにしっかりできた」とカナダに爪痕を残した。

 指導する浜田美栄コーチは「(昨日も)むちゃくちゃ怒りました。いつも言っていることですが、なかなか懲りないので。私は近所のおばちゃんじゃなくて、コーチなので。アスリートとしては粘着質なところがなさ過ぎて、落ち込んでいるように見えても、次の日になったら忘れるタイプなので」と穏やかな笑み。5人抜きにも手放しで褒めることはせず「練習が合格点を付けられないので、まずはちゃんと練習してやることを覚えてほしい。人間は絶対に失敗をするのに、その後のリカバーをする練習をしないので。だから今日はたまたま頭(冒頭の3回転ルッツ)が跳べたから(うまく)いったけれど、本当に自分が選手としてやっていこうと思うなら、失敗したときのリカバー力とか、対処は練習でしか学べない」と教え子に訴えた。