男子で宇野昌磨(19=トヨタ自動車)が地元名古屋で行われるGPファイナル(12月7日開幕)の3年連続出場を決めた。ショートプログラム(SP)2位で迎えたフリーはトップの179・40点を記録し、合計273・32点の2位。ジャンプのミスが目立った中で地力を示し、4連覇中だったエース羽生結弦(22=ANA)が故障で欠場する大舞台に歩みを進めた。SP1位のフェルナンデス(スペイン)が合計283・71点で優勝した。

 宇野はもがき苦しみ、不調の原因を見つけた。公式練習、直前の6分間練習とさえないジャンプ。中盤のステップ中には「跳べないという確信が分かった」といい、予想通り4回転フリップは乱れた。続く4回転トーループ、最終盤の3連続ジャンプの最後で転倒。大会前に発症したインフルエンザによる調整不足もあり「練習が足りなかった。体調管理ができていないところがまずいけない」と言い訳せず、自分を責めた。

 それでも堂々の2位で、平昌(ピョンチャン)五輪前哨戦のGPファイナル進出を決めた。今年2月に実戦初成功した冒頭の4回転ループは「練習で中途半端に悪いイメージを付けるより、ダメはダメで諦め、試合は集中力で乗り切ろう」とこの日の練習でほとんどやらずに成功。その出だしで大崩れは消えた。「とても苦しい演技だったけれど、諦めない気持ちで滑った」。大会直前の練習不足を嘆くが、救ったのも過去の練習の蓄積だった。

 地元開催で日本男子唯一の出場となるファイナル。激闘を終えた19歳は「期待に応えられるように、帰ってから、練習を積み重ねたい」と言い切った。2日間で知った不調の答えを、頂への力とする。【松本航】