小平選手は前日の反省を生かしました。世界記録への力みから動きが硬かった500メートルとは対照的に、1000メートルはリズム良く、軽やかに滑っていました。わずか1日で修正して、日本女子初の世界記録。普通に滑れば500、1000メートルともに世界一であることを証明しました。

 昨季から1000メートルでもW杯の表彰台に立つようになりました。これが昨季から500メートル国内外全勝の要因の1つです。1000メートルの強化でスタミナが増し、500メートルの最後の伸びにつながります。もちろん圧倒的なスピード力は1000メートルにいきます。両種目の両立で相乗効果が生まれているのです。

 あまりに強すぎることで逆に本番を心配する声も聞きますが、心配はいりません。今の日本は、小平に次ぐ2位に入った高木美帆、女子団体追い抜きなど注目選手、競技が複数存在します。金メダル候補が束になって五輪を迎えられるので重圧は緩和されます。逆にシーズン前半で外国人選手に対し、圧倒的な重圧を与えたことはプラスになるはずです。(長野五輪女子500メートル銅メダリスト)