女子シングルスで世界ランク2位の山口茜(20=再春館製薬所)が日本勢では15年の奥原希望以来、2年ぶりの優勝を飾った。決勝はリオ五輪銀メダルのシンドゥ・プサルラ(インド)と対戦。8月の世界選手権決勝で優勝した奥原と1時間50分の熱戦を繰り広げた相手と、1時間30分を超える死闘を2-1で制した。

 粘りに粘った。156センチの山口より23センチも長身のプサルラとの決勝は1時間30分を超えた。世界選手権を制した奥原同様、山口も、プサルラの根負けを誘った。悲願の優勝。20歳の覇者は「会場の応援で楽しくプレーできた」とはにかんだ。

 今大会の1次リーグでのストレート負けを含めて過去2勝5敗と苦戦してきた相手。第1ゲームは15-21で落とした。第2ゲームは0-5となってもあきらめない。29回のラリーを制して8-8の同点に追いつくと、逆に21-12と突き放して奪い返す。勝負の最終ゲームも大接戦の展開。0-4から盛り返すと、19-19から21-19と競り勝った。

 幼少時代から男子など強い選手相手に「どうしたら1点取れるか」と考えるのが楽しかった。以来「バドミントンを楽しむ」がモットー。その姿勢を貫き、高校2年で全日本総合を制覇したバドミントンの申し子だが、最近は「楽しさの中に結果がついてくる展開」と勝利へのこだわりがうまれた。昨年のリオ五輪は準々決勝で奥原に敗れ、涙を流した、その奥原は銅メダル。本人は決して口にしないが、五輪以降、闘争心は確実に増している。

 世界選手権の奥原に続き、山口が世界の頂点をつかんだ。今年は五輪、世界選手権に次ぐスーパーシリーズ12戦ですべてベスト8以上。右膝の負傷で今大会を欠場した奥原より安定感では勝る。日本バドミントン界悲願の東京五輪金メダルへ、2人の世界女王の誕生は大きなステップになった。

 ◆山口茜(やまぐち・あかね)1997年(平9)6月6日、福井県勝山市生まれ。3歳からバドミントンを始める。勝山高1年だった13年ヨネックスオープンでは、16歳3カ月16日で世界バドミントン連盟(BWF)スーパーシリーズ史上最年少制覇。14年全日本選手権で初優勝。昨春に再春館製薬所入社。リオ五輪女子シングルス5位。156センチ、55キロ。現在世界ランク2位。趣味はピアノ。家族は両親、兄2人。