10代怪物ペア「はりみう」が好発進した。混合ダブルスで、張本智和(14)平野美宇(17=ともにエリートアカデミー)組が2、3回戦を連勝し、ベスト16進出を決めた。昨年東京オリンピック(五輪)の正式種目に加わったことで組んだ急造ペアも、好連係で互いの実力を引き出し合った。順当にいけば、今日17日の準々決勝で世界選手権金メダルペアの吉村真晴(24)石川佳純(24)組と激突する。

 即席ペアとは思えない。中学2年の張本と高校2年の平野はコート内で好連係を見せた。20年東京五輪の新種目の混合ダブルス。日本協会の強化策の一環でペアを組んだ。年末年始に6日間の練習のみと、決して準備万全ではなかったが、世界の修羅場をくぐる2人の感性は合致する。2回戦で二木、後藤組に勝ち全日本初勝利を挙げると、3回戦でも柴田、鳥居組を退け、ベスト16入りを決めた。

 コート外は平野、コート内は張本が仕切った。試合ごとに選ぶユニホーム。2回戦はピンク、3回戦は赤と、平野が選択した。サーブなどの戦術面は張本が担当。14歳は「サーブのサインは出したけど、平野さんが決めてくれた。自分はミスをしないように気をつけた」と「姉さん女房」を立てるように言った。

 中高生のトップ選手が集う都内のエリートアカデミーで、寝食を共にする。張本は、夕食終了の午後9時ギリギリまで練習する平野の姿を見習ってきた。平野も「レシーブから1球1球の質が違う」と、世界で飛躍した3歳下の多彩なプレーに憧れを抱く。尊敬し合う2人の心があるからこそ、相乗効果も大きかった。

 この日、張本は「びっくりするかな」と、平野を気遣い、ポイントを奪ったときの雄たけび「チョレイ」は控えめだった。今日17日の4回戦で、14年全日本王者の張、森薗組を破れば、準々決勝で昨年世界選手権金メダルの吉村、石川組と対戦の可能性が出てくる。「勝てるチャンスはある。相手が強くなれば、声も出てくる。もっと声を出して連係を取っていく」と張本。無限の可能性を秘める10代の2人に、大物食いの予感が漂った。【田口潤】