【メルボルン=吉松忠弘】世界41位の杉田祐一(29=三菱電機)が、4時間33分の死闘の末に、身長211センチの巨人に屈した。同89位で歴代最多サービスエース数を誇るカロビッチ(クロアチア)に53本のエースをたたき込まれ、6-7、7-6、5-7、6-4、10-12のフルセットで敗れた。合計70ゲームは、現行タイブレーク導入後、4大大会日本男子最多ゲーム数となった。

 紙一重だった。杉田の重い口調は、その悔しさで満ちていた。ブレークポイントを握った回数は、相手より2回多い12回。しかし、その度にサーブをたたき込まれ、1回しか奪えなかった。1回戦で世界9位を倒しながらの敗戦に「もう少し上に行きたかった」とくちびるをかんだ。

 海が近い街だけに、普段なら風が強い。それが、この日は無風だった。サーブに影響を与える風がなく、相手の武器はうなりを上げた。「2週間、ここにいるけど、最も風がなかった。運もなかった」。食らいつくが、最終セットの第21ゲーム目で自分のサーブを落とし力尽きた。

 相手は、記録が残っている91年以降、17年末までで1万2302本の最多エースを奪っているジャイアントだ。このような戦い方を想像してはいたが、「あそこまでピンポイントにサーブを打たれたら」と、得意なリターンも粉砕された。

 今の杉田にとって4大大会の2回戦敗退は、とても満足いかない結果だ。しかし、初戦ではシードを撃破、この日も30度を超える熱波の中、4時間半を戦い抜いた。「最後まで集中力を維持できたことは成長」と、昨年の快進撃がフロックではないことを証明した。

 テニスのツアーは過酷だ。7月アンタルヤオープンで優勝し獲得した250点は、世界ランクに1年しか反映されない。それまでに、どれだけ貯金を増やし、上乗せできるか。「今年が勝負のシーズン」。次戦は、2月2日からの国別対抗戦デビス杯対イタリア(盛岡)に日本代表として挑む。

 ◆WOWOW放送予定 18日午前8時55分から。午後4時50分から。ともにWOWOWライブ。生中継。男女シングルス2回戦ほか。