今週末の2018年開幕戦オーストラリアGPを前に、トロロッソ・ホンダは良いかたちでバルセロナ合同テストのデータを分析し準備を整えることができたようだ。

 ピエール・ガスリーは昨年終盤戦でスポット参戦のかたちでF1デビューを果たし5戦を経験しているとは言え、フル参戦は初めて。開幕前のテストで走り込んで充分な準備が出来たとリラックスした表情で笑顔を見せた。

「間違いなくトロロッソとホンダの新しいコラボレーションとしてはとてもポジティブなスタートを切ることができたと思う。かなりの周回数を走り込んで車体側もパワーユニット側も良いテスト作業ができたし、ドライバーとしてもすごく良いフィーリングで走ることができたし、すごくハッピーだよ」

 しかしメルセデスAMG、フェラーリ、レッドブルの3強チームに次ぐ中団グループはかなりの接戦が予想される。コンマ数秒の差が大きな順位の差になるとガスリーは警戒する。「中団グループはものすごくタイトだね。ハース、ルノー、マクラーレン、ウイリアムズ、フォースインディアあたりはテストではまだ本来のポテンシャルをフルに引き出していないし、このタイトな中団グループの中では、0.3〜0.4秒の差で簡単に順位が3つ4つ変わることに繋がるから、だからこそマシンのあらゆるディテールを進化させマシンの全力を絞り出すことに集中しなければならない。予選でパーフェクトなラップを決められれば好結果になるし、小さなミスでも犯せば大きく順位を失いかねないし、ドライバーとしてはとてもエキサイティングな状況だよ」

 ブレンドン・ハートリーも「僕たちが中団で戦えることは間違いない。その中でどのあたりにいるかは、実際に走ってみないと分からない」と慎重だ。しかし隣国ニュージーランド出身だけに「すでにサイン会で顔見知りのファンの人が数人ニュージーランドから応援に来てくれていたしクールだね」とこちらも笑顔だ。

 ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターは、テスト終了時には開幕戦に向けて実戦では何が起こるか分からない不安があると語っていたが、その後のデータ解析と準備作業でかなり安心して開幕戦に臨むことができていると語った。「テスト後に日本のHRD Sakuraに行って、開発メンバーと一緒に(テストで発生した)不具合なども含めて最適化もやってきたんですが、そういう意味では今我々にできることは全てやって持ってきたつもりでいますし、ある意味不安は和らいだと言えます」

 テスト最終日にはデータ上に異常が出て念のため早めにテスト走行を切り上げる場面もあったが、これも電子制御系に起因するもので大きな問題ではなかったという。「電気系絡みでちょっと気になるデータが出たんですが、電気的なところなので、ノイズのせいなのか接触不良なのか解析に時間が掛かりそうだったので走行をやめたのですが、それを確認して対応データを入れて今回に臨んでいます」

 予選・決勝には雨の予報もあり、例年同様に開幕戦は荒れることが予想される。ここまでスムーズなスタートを切ったトロロッソ・ホンダにとって、まずは2台揃ってトラブルなく開幕戦を終えることが目標と言えるだろう。(米家峰起通信員)