16年リオデジャネイロ五輪柔道男子60キロ級銅メダルの高藤直寿(24=パーク24)が体重無差別で争う全日本選手権(4月29日、日本武道館)に出場することが22日、分かった。最軽量級の選手が出場するのは極めて異例だ。

 関係者によると、高藤は欧州単身修行から帰国した今月中旬、所属先などと協議の上、出場を決意した。出国時は全日本選手権について「柔道家としての夢舞台。出られたら良いなと思っているけど、自分1人では決められない」と出場への可能性を示唆していた。

 全日本選手権は、前年の五輪や世界選手権優勝者には地区予選が免除される「推薦選手」として本戦出場資格が与えられる。しかし、軽中量級選手は故障のリスクが高まるため敬遠しがちだった。昨年はリオ五輪73キロ級金メダルの大野将平(26)が出場して場内を沸かせた。高藤は昨年の世界選手権と同12月のグランドスラム(GS)東京大会を制し、既に9月の世界選手権(アゼルバイジャン)代表に内定。独自の調整が許さる“特権”を得ている。例年この時期は、世界選手権最終選考の全日本体重別選手権(4月7~8日、福岡国際センター)に照準を合わせていたが、今年は同大会の出場を見送った。

 3日の欧州オープン・プラハ大会では、1つ上の66キロ級で優勝した。減量せず160センチ、66キロの体格で100キロ超級の選手とも稽古をこなし、準備を整えてきた。「五輪と同じぐらい価値がある大会」と評していた初の夢舞台。24歳の若武者が「柔よく剛を制す」を体現する。