平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)銀メダルの宇野昌磨(20=トヨタ自動車)が男子SPで94・26点にとどまり、5位発進となった。右足甲を痛めた影響でジャンプの難度を落とし、さらに連続3回転ジャンプでミス。明日24日のフリーに向け「あきらめない」と上昇を誓った。ネーサン・チェン(米国)が101・94点で首位に立ち、故障の羽生結弦(ANA)に代わって初出場の友野一希(同大)は82・61点の自己ベストで11位。平昌五輪代表の田中刑事(倉敷芸術科学大大学院)は80・17点で14位につけた。

 予想通りの点を確認すると宇野はうなずいた。同時に湧き上がるのは「もっと難しい構成をやってよかった」という悔いだった。五輪後に替えた靴が合わず、右足甲の痛みに苦しんだ。ひどい痛みに襲われた20日には欠場も頭をよぎったが、就寝時に右足を固定する板をつけ、アイシングするなど必死のケアに励んだ。この日も痛み止めを服用。「気持ちが高まったからか会場に入ったときから普通に歩けた。不思議な状態で挑むことができた」と必死の回復でリンクに立った。

 ジャンプを4回転は2本から1本に減らし、最も簡単で負担の少ない4回転トーループのみ。従来の基礎点より8・49点も低い構成だった。冒頭の4回転トーループは鮮やかに決めたが、中盤の連続3回転ジャンプは1本目のサルコーで逆に「力があまってしまった」と感覚がずれ、続くジャンプが2回転になってしまった。ただ、その他の要素は難なくまとめ、トップのチェンとは7・68点差と射程圏内につけた。

 来年さいたま市で開かれる世界選手権の枠がかかる今大会。最大3枠の確保には、上位2人を合わせ「13」以内が必要だが、現在11位の友野と合わせ「16」。15年大会以来3季ぶりの2枠回避へ「しっかり頑張りたい」と責任感を口にした。さらに「ぼくは最後までもとの構成をあきらめない」と、明日24日のフリーでは平昌五輪と同じ4回転4本に臨む意志も示した。「全然練習してませんけど、もしかしたら明日よくなるかもしれないし、明後日よくなるかもしれない。希望をもって、あきらめずに」と自らを鼓舞した。【ミラノ=高場泉穂】