日本レスリング協会は6日、都内で臨時理事会を開催。五輪4連覇で国民栄誉賞も授与されている伊調馨(33=ALSOK)に対するパワハラ問題で、同協会は栄和人(57)が選手強化本部長の職を辞任すると発表した。

 同協会は、伊調と伊調のコーチだった田南部力氏から、栄氏が地位を利用して田南部氏に指導をやめるように命じ、従わなかった同氏を脅したほか、伊調が練習場所としていた施設に出入りできないように圧力をかけるなどのパワーハラスメントを受けたとする告発状が内閣府に提出されたことを受け、弁護士3人で構成される第三者機関を設置。同機関は伊調、栄氏らへの聞き取りを終え、協会側は5日に説明を受けたが、当初は栄氏、日本協会はともに告発内容を否定していた。

 報告書では、栄氏が日本代表合宿に参加した伊調に対して「よく俺の前でレスリングができるな」と発言するなど、複数件をパワーハラスメントとして認定。また同選手が出場しなかった2010年アジア大会(中国・広州)の選手選考についても問題を指摘しているという。

 林芳正文部科学相は6日の閣議後の記者会見で、報告書の内容までは把握していないとした上で「仮にもしパワハラの事実があったということであれば、協会において速やかに適切な対応を取られるものと考えている」と語っていた。