世界36位の錦織圭(28=日清食品)が、4大大会に次ぐマスターズ大会としては、16年ロジャーズカップ準優勝以来の4強進出を果たした。同3位で今年の全豪準優勝のチリッチ(クロアチア)を6-4、6-7、6-3のフルセットの激戦で制した。14度目の対戦で3連敗していたライバルを下し、右手首のけがから復帰後、初めてトップ10から勝利を挙げた。

 2時間55分のまさに激戦だった。錦織はチリッチの猛攻に耐えに耐えた。第2セットで3本のマッチポイントを逃したが、気落ちすることなく、すべてをぶつけた。「テニスはよくなっている。調子は上がってきている」。14年全米で決勝を争った相手に勝ち、完全復活へ大きく前進した。

 第2セット、第10ゲーム5-4で3本のマッチポイントを握った。右ひざを痛めたチリッチを振り回し、主導権を握った。しかし、今度は逆に相手が開き直った。短期決戦とばかり、ほとんどのショットを強打され、タイブレークで逆転された。

 それでも心は決して折れなかった。最終セットの第8ゲーム第3ポイント。驚異的なフォアのクロスがチリッチの脇を抜けた。右手を突き上げる錦織。それをきっかけに相手のサービスゲームを破った。「しっかりいい形で取れた」。最後は相手のバックがアウトした。

 1月下旬に右手首の腱(けん)の脱臼から復帰した。思うように戦えない試合が続いたが、クレー大会に入り躍動。現役選手で勝率5位という得意のコートで、初のマスターズ優勝を目指す。