アメリカンフットボールの関学大と日大の定期戦で、日大選手による悪質な反則行為で選手が負傷した問題について、関学大の鳥内秀晃監督(59)らが12日、兵庫県西宮市内で怒りの会見を行った。関学大は10日付で抗議文を送付した。回答次第では来年度以降の定期戦を「拒絶」する考えも示した。両校は6日に都内で51回目の定期戦を実施。日大DLのタックルで関学大の2年生QBが全治3週間のけがを負い、新たに左脚のしびれも訴え、近く精密検査の予定もある。東西の伝統校に亀裂が生じた。

 会見場には、目を疑うような悪質な反則行為の映像が流された。そのスクリーンを横目に、関学大の鳥内秀晃監督が怒気を帯びた言葉を発した。「あってはならないこと。これを認めるとスポーツは成り立たない」。校舎内に設けられた会場は、緊張感に包まれた。

 発端は6日の定期戦の第1クオーター、関学大の最初の攻撃だった。2年生QBが味方にパス。その約2秒後に背後から突然、日大DLのタックルを膝付近に受けた。関学大QBは無防備な状態で、体を地面に打ち付け途中退場。翌7日に右膝軟骨損傷と腰の打撲で全治3週間の診断を受けた。同選手はその後、左脚のしびれを訴えている。改めて精密検査を受ける予定で、最終的に全治までの期間が延びる可能性もある。

 関学大の小野宏ディレクターは「普通に道を歩いていて、後ろから100キロの選手に全力でタックルされることを想像していただきたい。命に関わる事故につながる可能性があった」と指摘。訴訟については明言を避けたが、タックルの悪質さにあきれ返った。

 加えて、日大・内田監督のプレー容認ともとれるコメントも問題視。関学大は、計3度の悪質プレーで日大DLが退場した今回の件について、見解や正式な謝罪を求め、抗議文を日大側に送った。

 関学大によると、11日夜に日大のコーチから関学大スタッフに「当該選手を連れて謝罪に行きたい」と連絡があったという。ただ、日大は、関学大へ直接謝罪をしないまま10日に公式サイトに謝罪文を掲載し、その上で11日夜に電話をかけている。関学大は一連の対応に不信感を強め、抗議文に対する回答を要望した。

 関学大は今後、日大からの返答を待ち、誠意ある内容でない場合は、来年度以降の定期戦を拒否する方針。長年、甲子園ボウルで覇権を争ってきた両校。伝統の「青と赤の戦い」が思わぬ形でグラウンド外に波及した。【松本航】