アメリカンフットボールでラフプレーによる処分を受けた日大が、相次いで対戦を拒否された。関東学生連盟は14日、日大が予定していた20日の法大、6月9日の東大、10日の立大とのオープン戦3試合を中止すると発表。3校は連名で、正式処分や再発防止策を講じていないことから、安全を優先して中止を申し入れた。連盟は6日の関学大戦で3度のラフプレーで退場した日大DLの対外試合出場禁止などの暫定処分を10日に発表。また、日大に見解と謝罪を求めている関学大は16日を回答期限とする抗議文を送付している。

 日大のラフプレー問題は収まることなく広がる一方だ。ライバルが対戦を拒否する事態に。関東大学1部TOP8で秋のリーグ戦で対戦予定の法大と立大、BIG8の東大も中止を申し入れた。法大は長年日大と優勝争いを演じ、一時中断していた対戦を今春復活させる予定だった。

 法大は16年、東大も昨年体制が代わり、改革を打ち出し、友好的に活動している。両校はチーム方針で特に安全第一を打ち出し、立大も同調して今回のラフプレーを重大視。昨年就任した東大の森ヘッドコーチ(HC)は「連盟処分は暫定で、正式に見解も出されていない。十分な安全性が担保されていない中で、試合はできない」と中止申し入れの理由を説明した。

 森HCは未経験から京大で2度日本一になり、88年からコーチを務めた。5チーム中3チームを日本一に導き、11年からは日本代表HCも務めた。日大DLの最初の反則には「30年以上指導してきて初めて。経験者でも極めてまれと分かる」と危険性を感じていた。反則はパスを投げ終えた約2秒後、無防備の関学大QBの背後からタックル。QBは右膝軟骨損傷などで全治3週間と診断された。

 東大は狭き門の国立校で、大半が未経験から入部。森HCは「スポーツ経験のない学生もいる。迷っている新入生や保護者も不安な状態で試合はできない」とも話した。他校で来年入学の勧誘で「大学は怖いので競技はやめる」という高校生も出てきたという。競技人口減少や存続を危ぶむ声すら上がりだした。

 日大はホームページに謝罪文を掲載したが、関学大戦後に2試合をこなした。関学大に出向いて謝罪しようとしたが、抗議文への回答が先だとして断られた。12日の関大戦から内田監督は姿を見せず、日大の森HCが「あらためて適切に対応したい」と話しただけ。今後の中止3試合以外に4試合を予定している。

 ◆日大アメリカンフットボール部 1940年(昭15)に創部。愛称のフェニックスは50年代に最強を自負したオール日大「不死鳥倶楽部」に由来。甲子園ボウルは55年に初出場し優勝。昨年が34度目で、優勝21度は関学大の最多28度に次ぐ。ライスボウルは84年に初出場し、過去5度のうち4度優勝。