アメリカンフットボールの日大の選手が悪質な反則行為で関学大の選手を負傷させた問題で、日大教職員組合は21日、一連の騒動で低下した社会的信用を回復するため、真相究明、大学改革などを求める声明文を出し、田中英寿理事長と大塚吉兵衛学長に5項目にわたる事項の履行を求めた。

 <1>スポーツのあり方を検討し、フェアプレー精神の重要性を再教育。反則行為をした日大選手を個人攻撃から守る。

 <2>第三者機関による調査に協力するとともに、協力者への圧力の禁止。

 <3>専断的ではなく民主的な大学づくりをする。

 <4>全組織で上意下達の体質を改め、パワーハラスメントになりやすい権力行使を抑制する仕組みをつくる。

 <5>日大のあり方(姿勢、体質、構造)に対する批判を受け止め、反省し、人事と人身を一新。

 今回の反則行為の経緯については関東学生連盟の規律委員会が調査を行っているが、声明文では大学独自の調査が必要だと主張している。また、アメフト部の内田正人監督が19日に全ての責任を認め、謝罪、辞意を表明したことについては「その対応は遅きに失し、もっとも肝心な点が一切言及されなかったため、監督の辞任だけでは済まされない状況を自ら作ってしまった」と厳しく指摘した。

 内田監督が人事担当の常務理事で、学内で大きな権力を行使する立場にあるため、大学としての「姿勢(不誠実と呼ばざるを得ない対応)」「体質(有無を言わせずに従わせる上意下達の体育会的気風)」「社会構造(学内の意思決定のあり方など)」にまで関連させて問題視されるようになったとの観測を示した。

 その上で、教職員組合は田中理事長と大塚学長に対し、真相を明らかにし、関学大関係者はもちろん日大の学生、教職員に説明すべきとしている。