悪質なタックルを受けた関学大の2年生QBが21日、大阪府警池田署に被害届を提出した。同日夜、大阪市内で会見したクオーターバック(QB)選手の父親は「内田監督の会見で真実を聞くことができなかった」と理由を説明。スポーツの試合内でのプレーで、警察の捜査が行われる異例の事態となった。

 被害学生の父である大阪市議会議員の奥野康俊氏(52)は涙声で「息子は一時『アメフトをするんじゃなかった』とまで言っていた」と声を震わせた。何度も家族会議を開いての結論。被害者をQB選手、加害者を日大選手として届けたが「負傷した事実についての届けなので(日大の)監督に対しては出せないとのことだった」と、内田氏への不信感をにじませた。

 6日の試合から2週間以上も経過してからの被害届提出。ここに至った理由は19日の謝罪後、内田氏が空港で開いた会見だった。

 面会した内田氏との会話の中身については「後日、関学大から明らかにされるはず」と語らなかったが「(日大選手が)なぜあそこまで追い詰められたのか、会見で一言いただきたかった」。今後は刑事告訴も視野に入れており、「刑事告訴まで行くか、被害届を取り下げるかは日大の対応次第」と言い切った。

 一時は右足がはれ、左足がしびれていたQB選手は現在、練習に戻っている。奥野氏が確認すると「アメフトが好き」と話したという。「息子の同級生で日大でお世話になっている選手もいる。堂々としたチームになってほしい」。加害選手も含む日大選手の将来をおもんばかりながら、内田氏には「きちっとした態度をとってほしい」と繰り返していた。【高木茂久】