ソウルオリンピック女子シンクロナイズドスイミング銅メダリストで日本大出身の小谷実可子氏(51)が25日、文化放送「くにまるジャパン 極」(月~金曜午前9時)に生出演し、アメリカンフットボール部の選手が悪質な反則で関西学院大の選手を負傷させた母校の一連の問題について語り「絶望するのはまだ早いというか、本当に一部改革していただきたい」と呼び掛けた。

 小谷氏は「日大といえばかつて水泳部も強かったですし、篠竹監督時代のフェニックスも強くて、ちょっと、おこがましい言い方ですけど、キャンパス内でも日大水泳部員とフェニックスメンバーは肩で風を切って歩いてるというような」と、学生時代に水泳部とアメリカンフットボール部が学内でも有力な部活だったと振り返った。「お互い刺激し合いながら、篠竹監督にもすごいかわいがっていただいていたのでよく励ましていただいたりとか、みんなでアメフトのかっこいい子にキャーキャー言ったりとか、本当に勢いがあった」と、アメリカンフットボール部の黄金期を築いた故篠竹幹夫監督とも親交があったことも明かした。

 その上で、反則行為を実行した宮川泰介選手(20)が会見を開き、内田正人前監督(62)と井上奨コーチ(30)から指示を受けたなどと告白したことについて「加害者ではありますけども非常に潔くてさわやかだった宮川選手自身、彼も日大で育まれたことによってああいう青年になってるわけじゃないですか。アメフトという競技の中で心身ともに磨かれたおかげで、ああいうふうになったということをぜひ忘れないでいただきたい」と評価。「誤ったことをしてしまった時は謝るという潔さとか、スポーツに対しての『自分はもうアメフトはすべきじゃない』と思えるようなスポーツに対する愛・誠実な気持ちがあるからこそ『自分はもうこのスポーツはやってはいけない』と思う感覚があるので、そういうものが育っていたっていうことは、何か組織としてはいろいろ良くないことがあったとは思いますけど、チームメートなのかアメフトというスポーツの特性なのか」と同選手と母校の育成、指導に理解を示した。

 小谷氏は、競泳で2000年シドニーオリンピック代表選考をめぐる問題が社会問題化した結果、「日本選手権(オリンピックの派遣選考会も兼ねる)で2位に入り、なおかつ日本水泳連盟が定める派遣標準記録を突破しなければならない」という基準が出来たことを引き合いに、アメリカンフットボール界の成熟を期待した。

 小谷氏 例が違いますけど、今競泳も選考とかクリアになって、少し前はそういうクリアではない選考方法があって。そういう苦い経験があって、それから学び向き合って今の競泳界の活躍がある。なので、アメフトも、ある意味、未熟だったんだと思います。そういう人達が君臨しちゃったっていう。なので、これを機に、日大だけでなく全てのアメフトの世界の方々が、もう1度フェアプレー・スポーツマンシップというものを考えて、この競技を成長させようという1つのエネルギーにつながってほしいですね。

 小谷氏は「私の教え子も『実可子先生と同じ日大を目指したい』ということで付属校に入った子もいますし、いろいろ夢とか目標をもって日大をこれから受験しようとか、付属校に入った子とかもいっぱいいると思うんですけど(中略)今進路変更を考えている皆さんにはもうちょっと広い視野で見ていただきたいなと思います」と日本大を志望する高校生以下の学生達に呼び掛けていた。