日大アメリカンフットボール部の選手が悪質なタックルを犯した問題で、日大の大塚吉兵衛学長(73)が25日、一般学生にも影響が及んでいる現状を鑑み、都内で緊急記者会見を行った。活動自粛中の同部の存続も明言。23日の内田正人前監督(62)と井上奨(つとむ)前コーチ(30)の“炎上”会見を受けて、全体的に丁寧に対応したものの、大塚学長は頻繁に笑顔を見せつつ、「人ごと会見」となった。

 大塚学長は日大の対応が後手に回り、騒動が拡大したことについて「(宮川選手にも)大学として追い込んでしまった。深くおわびしたい」と謝罪した。反則を犯した宮川泰介選手(20)との面会の意向を示し、学部が復帰策を思案中という。「卒業後の進路まで力を注ぎ、1日も早く『安心感』を与えたい」。活動自粛中の同部に関しても存続を明言した。学長自ら会見を行った理由として、同騒動の謝罪と一般学生への配慮があった。6月から本格化する就職活動で、4年生から「アメフト問題についてどう思うか?」などと企業面接で問われ、困惑する学生もいるという。「学生に負担になるようなことがないように企業様にお願いしたい」と呼び掛けた。

 このように会見目的は「謝罪」よりも「学生保護」の意味合いが強かった。大学の対応が遅れた理由を「スポーツのグラウンド内で起きたことは部同士、連盟で解決してきたから」などと、人ごと。同騒動が「ここまでは考えていなかった」とも言い、笑顔も見せながら質問に応じた。事案が発生した原因を聞かれ「監督、選手の世代間のコミュニケーション不足もあったのでは。会社ではどうですか皆さん?」と、なぜか報道陣に問いかける場面もあった。

 この日は、34の運動部の最高責任者である大塚学長のみが出席したが、今後、田中理事長が会見することは「特に考えていない」とし、理事長の責任については否定。大塚学長の責任であることを強調した。【三須一紀、峯岸佑樹】