レスリング女子で五輪4連覇を成し遂げた伊調馨選手(ALSOK)らへのパワハラ問題で日本協会強化本部長を辞任した栄和人氏が14日、全日本選抜選手権が開幕する駒沢体育館で大会前に謝罪会見を開いた。

 第一声で「伊調選手、田南部コーチに深くおわびしたい」と頭を下げた。一連の騒動以降、公に姿を現し、謝罪するのははじめて。

 頬はこけ、神妙な面持ちで会見に現れた同氏は、その後は書面をみながら謝罪の言葉を続けた。「第三者委員会、および、内閣府からご指摘を受けたパワハラ認定を真摯(しんし)に受け止め、伊調選手、田南部コーチ、レスリング協会関係者、また、内閣府をはじめとする関係省庁、さらにレスリングを応援してくださった国民の皆さまに多大なご迷惑をおかけしましたことを心からおわび申し上げます。申し訳ございませんでした」と声を絞り出すように話した。

 一連の騒動の要因に「コミュニケーション不足」を上げ、「今後2度とこのようなことを起こさないよう常に他人に敬意を持って接していきたい」と話した。伊調選手へは「ALSOKの監督さんを通して会って謝罪したいと話していたが、これから協会を通して会って直接、謝罪したいと思います」と述べた。

 指導者への情熱も伝えた。至学館大の谷岡学長から「『選手全員があなたの指導を受けたいと言っているよ』と聞いた時は、どうにかしてあげたいと思い、選手の前で涙が出た」と教え子への熱い思いを話した。

 騒動は伊調側が1月に代理人弁護士を通じ、内閣府の公益認定等委員会に告発状を出したことで発覚。当初、栄氏は認めてはいなかったが、日本協会は3月に問題解明に向けた聞き取り調査を第三者機関に委ねることを決めて調査をすすめ、4件でパワハラが認定されていた。同協会は8日の理事会で、23日の評議員会で常務理事を解任する提案をすることも決めている。