楢崎智亜(22=TEAM au)が複合の初代日本王者に輝いた。弟の明智(19=TEAM au)に逆転勝利し、兄として「達成感、半端ないです」と満面の笑みで勝利の余韻に浸った。

 第1種目のスピードでは、6秒87をマークし、23日の予選に引き続き2日連続で日本記録を更新。スピードで1位に立つも、ボルダリングでは右膝の痛みの影響もあり4位に。弟明智がボルダリングで1位を獲得し、楢崎智は総合点で明智を1点下回って最終種目のリードを迎えた。強みであるスピード感のある登りを生かし、1手1手着実に進む。決勝に進んだ6人で唯一、37手目のホールド(突起物)をつかみ、38手目の途中で力尽き「37+」のスコアを獲得して1位に立った。3種目のかけ算で算出する複合の総合点を、スピード1位、ボルダリング4位、リード1位で、「1×4×1」の4点とし優勝。明智は6点で準優勝となり兄弟でワンツーフィニッシュとなった。

 決勝のボルダリングでは不本意な結果となったものの、総合点でトップとなった。同様に、23日の予選ではリードでの失敗が響き、リードの順位はまさかの21位。それでもスピードの1位、ボルダリングの2位で挽回して予選を首位で通過するなど、複合の順位決定方式に救われた面もあった。楢崎智は2日間の日程を終え、「2種目が良ければ挽回もできるんだなと感じた」と初めて経験したことでの収穫も得た。3種目での戦い方も「大会前は温存しつつやっていくのかなと思っていたけれど、全部全力でやらないといけないし余裕は無かった。小さい数字を狙いつつ、底を上げたい」と今後を見据えた。