フィギュアスケート男子で14年ソチオリンピック(五輪)銅メダルのデニス・テンさん(25)が19日、強盗に襲われて刺殺された。カザフスタンの国際ニュース通信社「カズインフォルム」をはじめ、複数メディアが報じた。

 複数の報道によると、テンさんは同日午後にカザフスタン南東の都市アルマトイのダウンタウンにいた際、自家用車の鉄製のミラーを奪おうとしていた2人の見知らぬ男に襲われ、右太ももをナイフで刺され、血管が傷つき、大量出血したという。午後3時に救急車で同市の中央病院の救急センターに運び込まれたが、既に3リットルもの出血をしていたという。同国内務省は捜査をしており、容疑者を特定しているとの報道もある。

 カザフスタンの保健・社会開発省。広報のイエナル・アキムクロフ氏は「不幸なことに、彼は我々とともには、もういられません」と声明を発表し、テンさんが亡くなったとの複数報道が事実だと認めた。同氏は、テンさんが死亡したことについて会見を開くと明らかにした。

 テンさんは16年3月30日、フィギュアスケート世界選手権の公式練習中に、同大会で2年連続の銀メダルを獲得した羽生結弦(ANA)の曲をかけた練習中にリンク中央でスピンを続け、羽生とぶつかりかけた。

 その場で羽生は「それはねえだろ、お前」と激怒。羽生はその後「彼自身苦しさもあっただろうし、もちろん僕にもあった。この試合で和解したいと思っていたので、握手しましたし、お互い気をつけようと話しました」と話し、仲直りするなど日本人フィギュアスケーターにとっても印象深い選手だった。