国際水連(FINA)は19日、20年東京オリンピック(五輪)の競泳を午前決勝で行う方針であることを発表した。FINAは通例通りに午後決勝を求めてきたが、米テレビ局から巨額の放送権料が見込める国際オリンピック委員会(IOC)が午前決勝を希望。前日18日に競技日程の大枠を承認したIOC理事会でも、競泳は結論を持ち越したが、FINAが折れた形となった。これで競泳は同じアジア圏だった08年北京五輪に続く午前決勝になる。

 五輪で12年ぶりに午前決勝が実施されることになった。FINAがこの日、IOCが求める競泳午前決勝案に同意することを決めた、と発表した。大会組織委員会の武藤事務総長は「(組織委は)FINAの意向を尊重する立場」とし、IOCとFINAの決定を受け入れる姿勢を示した。

 FINAと大会組織委は「アスリートファースト」の観点から一般的な午後決勝を希望。しかし競泳人気が高い米国のテレビ局NBCユニバーサルがゴールデンタイムで放送できる時間を求めていることもあって、IOCは午前決勝を希望していた。18年平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)でも北米で人気のフィギュアスケートが午前決勝で実施されている。18日のIOC理事会では折り合いがつかず、水球を除いた水泳だけが「競技日程未定」と発表されたが、最終的にはFINAが譲歩した形だ。

 東京では、混合400メートルメドレーリレーなど新種目が採用され、午後決勝でも9日間開催になる見通しだった。午前決勝になると第1日は予選だけとなり、合計10日間。16年リオデジャネイロ五輪に比べ2日間プラスされる。競泳の日程に見通しが立ったことで、同じ会場で実施されるアーティスティックスイミングや飛び込みも最終調整に入る。