アジア大会(インドネシア・ジャカルタ)日本代表の結団式が13日、都内で行われ、ボクシング代表の成松大介(28=自衛隊)が、日本ボクシング連盟に不正判定などの疑惑が浮上して以降、初めて公の場に姿を現した。

 成松は結団式後、足早に会場を出た。この日、会場内、外ともに個別取材、ぶら下がり取材は禁止というアナウンスがなされていたが、今回の問題の大きさを象徴するように、20人強の報道陣が成松を追った。関係者が「取材はご遠慮いただいています。ご了承ください」と制する中、報道陣からは「成松さん、一言お願いします!!」などの質問が飛んだが、成松は無言で、振り切るように建物を出た。

 その後、バスに乗るため、待合場所で待っている最中も「日本連盟から、しゃべらないように言われているのですか?」などと質問が飛んだが、成松は約16分、無言を貫いた。時折、横目で報道陣を確認しつつ、待合所に来たバスに乗り込み、会場を後にした。

 16年のリオデジャネイロオリンピックに男子ライト級に出場した成松は、日本スポーツ振興センター(JSC)から15年度に助成金240万円を交付された。その際、暴力団との交際を認めて日本ボクシング連盟(日連)会長を辞任した山根明氏(78)から、助成金を3等分にするよう指示され、別の2選手に80万円ずつ渡されていたとされている。

 山根氏は、助成金の不正流用について「私自身が『3等分しなさい』と言いました。確かに私自身が3人が一緒に受けられたらいいと思いましたけど、3等分してくれたらといいと言い、本人(成松)が納得した」と語った。そして「やっていけないとは知らなかった。僕はそこまで認識不足。感覚を持っていませんでした」と答えた。日連も、他の2選手を強化したいという山根氏の親心だったとした。

 また成松の口座に、日連から160万円が振り込まれていたと一部で報じられた件について「私は時計を売りました。急に言われても、16万はありますけど160万はないですから。息子からもらった大事なロレックスを売りました。それで送金しました」と補てんしたことも示唆した。

 山根氏は成松の今回の派遣について「心情的にしたら行かしたくないんですよ、正直に言うと。だけど、(もし)反対側の高校の先生の教え子がおっても、選手には関係ありません。強い選手を派遣いたします」とも話している。【村上幸将】