8月14日、2度の世界王者フェルナンド・アロンソが来季はF1に参戦しないことを表明した

 「17年間にわたったこの素晴らしいF1の世界で戦ってきたが、ここで変化し新たな道を進むべき時が来た。あらゆる一瞬一瞬が素晴らしい時間だったし、そこに関わってくれたあらゆる人々に感謝してもしきれない。これ以上なく幸せな時間を過ごすことができたが、新たな冒険に出なければならないと感じている」

 アロンソは2001年にF1デビューし、03年にはルノーに加入して当時の史上最年少ポールポジションと史上最年少優勝記録を塗り替え、05年・06年には2年連続世界チャンピオンに輝いた。当代最速ドライバーの1人との呼び声高く、その後はフェラーリ、マクラーレンなど名門チームを渡り歩きタイトル争いを繰り広げたが、3度に渡ってランキング2位に終わるなど3度目の王座には手が届かなかった。15年からはマクラーレン・ホンダをドライブしたが、非力で信頼性不足のパワーユニットに泣かされると同時にチーム力の低下もあり、ルノー製パワーユニットにスイッチした今季も浮上のきっかけが掴めず中団争いを強いられていた。

 今季はトヨタからWEC(世界耐久選手権)に参戦し、ル・マン24時間レースを制覇。以前から「自分が世界最高のドライバーであることを証明すべく、世界3大レース制覇を目指している」と公言しており、モナコGP、ル・マンに次いで残るインディアナポリス500マイルレース制覇に向けて舵を切ったとみられる。16年にはインディ500に参戦し初年度にもかかわらず一時首位を快走するドライビング能力を見せている。

 今回の発表では、F1からの「引退」という言葉は使わず、今後の活動についても含みを持たせている。最近の例では、2016年をもってジェンソン・バトンがマクラーレンとの契約を残して1年間の休養を表明し、本人は引退の意向だった(17年モナコGPのみアロンソの代役として出場)。

 アロンソは、少なくとも2019年はF1で走ることはないという決断は、今季の早い段階で決めていたと明かした。なお、WECにおけるトヨタとの契約は来年6月のル・マン24時間を含む2018−19スーパーシーズンの末まで残っている。

 「この決断は数カ月前には決めていたことだ。僕の意思は堅かった。(F1を統括する)リバティメディアとチェイス・ケアリーをはじめ慰留しようとしてくれた人たちには感謝したい。これまでともに戦ったチームの人たち、スポンサー、ジャーナリスト、そして何よりファンの人たちに感謝している。未来がどんな道筋をもたらしてくれるのか、楽しみにしよう。新たな挑戦は始まりつつある。そして僕はいつか僕らの道が再び交差する時が来ると強く信じているよ」

(米家峰起通信員)