野中生萌(21=TEAM au)が、自身初のボルダリングワールドカップ(W杯)年間女王の座に輝いた。

 最終戦までもつれ込んだ野口啓代(29=同)との熾烈(しれつ)な年間女王争いを制した。第6戦を終えて総合得点で野口に5点のリード、2人うち順位が上位のほうがが年間女王を手にするという状況の中で臨んだ最終戦の決勝。第3課題まで完登(かんとう)して迎えた最後の第4課題。1つ1つ丁寧に登り、トップホールド(突起物)をつかんで1撃(1トライ目で完登すること)すると、目を潤ませて、感極まった。

 「ゴールの2手前くらいに、すべって落ちかけたんですけど、もう何がなんでも登ってやるって気持ちで、かなり力強く、力んでたと思います」

 野中は4つの課題全てを完登(かんとう)し、最終戦を2位につけた。

 「会場もこれだけの観客ですごく盛り上がるし、ちゃんとメンタルをコントロールしながらやったので、結構キツいファイナルでしたね」と言う。野口との勝負を考えたときに、3課題目でなるべく少ないトライ数で登ることが鍵になるぞ、と自分を奮い立たせた。「そこから結構しっかりと気持ちは入っていました。そういう戦略だったり、あとは今季ここまでたくさん…まだまだですけど、経験を積んできたなかで、やっぱりメンタル面で負けてきたところはあるので、そこをコントロールできるようになったのが、理由かなと思います」と自分自身の成長も口にした。