スポーツ庁の鈴木大地長官(51)が1日、改めて暴力根絶を訴えた。訪問先の中国から帰国した同長官は羽田空港で取材に応じ、体操の宮川紗江選手に対する暴力指導について「選手に対する暴力はありえない。根絶に向けて取り組んで欲しい」と話した。

また、宮川選手がコーチの暴力を「パワハラだとは思わなかった」としたことに「選手の側も知らなすぎる。暴力による指導が間違っていることを認識していただきたい」とした。

先月20日にはアジア大会出場中のバスケットボール男子代表の買春問題で会見したばかり。相次ぐ不祥事に「国やスポーツ庁の介入も視野に入れる」と話したが、そのアジア大会が閉幕する前に再び不祥事が起きた。「公金を強化に使っているし、今のままで持つのかという感じ。しっかりコントロールできるような体制も考えないといけない」とスポーツ庁の指導力を強化する考えも明かした。

80年モスクワ五輪ボイコットにおける政治介入が問題になり、その後日本オリンピック委員会(JOC)が独立した。それを知るだけに「スポーツ団体の自治や独立は尊重すべきだし、信頼してきた」と話すが、これだけ不祥事が続けば我慢も限界。「国の関与を見直すこともある」と怒りの表情で言った。

すでに庁内にプロジェクトチームを立ち上げ、指導力を強化する仕組みなどを検討している。年内にまとめる予定だが「なるべく早く方向性を決めたい」と同長官は話していた。