全米オープンで日本人初の4大大会優勝を遂げた世界7位の大坂なおみ(20=日清食品)が国内初Vと日本女子史上最多の年間ツアー3勝目に王手をかけた。同37位のカミラ・ジョルジ(イタリア)に6-2、6-3の71分でストレート勝ち。1セットも失わず16年以来2度目の決勝進出で、同8位のKa・プリスコバ(チェコ)と対戦する。全米から区切りの10連勝で、11試合目で初めてトップ10と対戦する。

決勝を前にして、すでになおみ劇場がさく裂した。全米も東レも決勝も関係ない。舞台はコート、主役はなおみだ。「(今日初めて)緊張しちゃった。何か大変。何か分からない」。それでも、全く危なげなく、相手にブレークポイントさえ与えない独り舞台だった。

美女とSNSで話題沸騰のジョルジに対し「当たり出したら手がつけられない」と警戒した。しかし、打ってくる相手をしっかり受け止め、逆にチャンスでは打ち負かした。「今日は、あまり反省点がないわ」と自ら合格点を出した。

この日、会見には中学、高校生向けの新聞の中高生女性記者も出席。質疑応答後に大坂はわざと「どこの新聞の方?」といじった。かと思えば、質問した記者の携帯ストラップに興味津々。「それ何?」と逆質問。アニメと分かると目を輝かせた。

実は全米から今大会の準決勝まで10試合、1度もトップ10と対戦していない。だからといって、大坂の快挙が色あせることはないが、運も後押ししている。決勝で対戦するのは8位のプリスコバ。7月のウィンブルドン3回戦で10位のケルバー(ドイツ)と対戦して以来のトップ10との対戦となる。

「とても厳しい戦いになる」。2大会連続優勝に向け、覚悟は決まった。それでも、全く気負いはない。日本語でのファンへのメッセージは「こんにちは。昨日、じゃない、今日、じゃない、そう明日、頑張ります!」。なおみ劇場の幕はまだまだ下りる様子もない。【吉松忠弘】

◆WOWOW放送予定 23日午前10時45分から。WOWOWライブ。生放送。