平昌五輪(ピョンチャン・オリンピック)女子4位の宮原知子(20=関大)が、フリーでトップの145・85点をマークし、合計219・71点で2連覇した。改良中のジャンプをすべて決めるなど、ショートプログラム(SP)に続き圧倒的な演技を披露。4季連続のGPファイナル出場へ前進した。。

宮原の新たなチャレンジが早くも形になった。今季のテーマは「挑戦」。これまで回転不足と判定されることが多かったジャンプを見直し、高さと安定感を求めて練習を積んできた。この日はルッツ、トーループの連続3回転を美しく決めるなど、7つのジャンプすべてで加点を得た。「少しずつ変えてきたジャンプが形になってきた手応えがある。回転不足がなかったのが一番の収穫」。SPともにほぼ完璧な演技で2連覇を果たし、口元が緩んだ。

ジャンプだけでなく、表現でもみせた。今季、フリーで取り組むのはピアソラのタンゴ。赤と黒のセクシーな衣装で、情熱的な大人の女性を演じた。美しいスピンやスケーティングも映え、表現力を評価する演技構成点は唯一の70点台。まだ20歳ながら、その滑りには安定感と貫禄が伴う。浜田美栄コーチは「スルメみたいな子で、かんでじっくり味が出る。それが伝わってきたのかな」と高評価を喜んだ。

宮原の目線の先には、バンクーバー五輪銅メダリストの大先輩高橋大輔の姿がある。4年ぶりに現役復帰した高橋と関大のリンクで一緒に練習するようになり、その存在感に圧倒された。「曲が鳴って滑りはじめただけで、世界観が生まれるのを肌で感じました。これぐらいにならないといけない、と。自分はまだまだ」。探求心が、地道な練習へと向かわせる。

昨季は股関節骨折で出遅れたが、シーズン中盤から急ピッチで体を仕上げ平昌五輪で4位入賞、世界選手権で銅メダルと結果を残した。だからこそ、体の不安なく練習できる喜びを実感する。「去年とは練習量が全く違う。技術面と表現面をもっと上げたい」。次戦は3週間後のGP第4戦NHK杯。「ジャンプの練習を重点的にしていくことになる。気持ちの問題が大きいので、試合を想定して練習をしていく」。変わらず、こつこつと、滑りに磨きをかけていく。