25日にカタール・ドーハで開幕する体操世界選手権の公式練習が23日、会場で行われ、男子で右足首のけがにより個人総合出場を断念した内村航平(29=リンガーハット)が床運動、跳馬をのぞく4種目の調整を行った。リラックスした様子で、それぞれの種目で丁寧に着地を確認。練習後は「(けがの状態が)良くなってきている」と笑顔もみせた。

左足首のけがで途中棄権した昨年大会に続き、今回もけがに苦しむこととなった。9月25日に右足前距腓靱帯(ぜんきょひじんたい)を損傷。「6種目やるのはあきらめない。それが仕事」と必死に調整を続けてきたが、状態が戻りきらず4種目のみでの出場を決断した。6連覇した15年大会以来の個人総合優勝をあきらめた分、3位までに東京五輪の出場権が与えられる団体戦に注力する。

練習会場の壁には、バスケットボールの「神様」マイケル・ジョーダンの大きな写真とともに彼の名言が記されていた。“私は9000回以上シュートを外し、300試合に敗れた。勝負を決めるシュートを任され、そのうち26度外した。人生で何度も何度も失敗してきた。だから私は成功したんだ”。内村は「有名な言葉ですよね」と語り、その上で「体操は、もっと失敗していると思います」と笑った。

数え切れない失敗を土台にして体操界の「キング」と呼ばれるようになった。その自負を胸に、変わらず日本のエースとして26日の予選に臨む。【高場泉穂】