3回にわたってTリーグを紹介してきた連載「卓球 元年」の最後は「育成、将来」編。リーグでは、ジュニア世代の育成、競技の普及や未来に向けたビジョンも備えている。

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Tリーグに参戦する彩たまが9月下旬に、3歳の平鈴莉空(りりあ)ちゃんと契約し、話題を呼んだ。チームには、6歳以下の育成機関を作ることが義務付けられている。リーグが掲げる「世界一のリーグ」には、強さだけでなく、ジュニア世代の育成も世界トップレベルに引き上げることが織り込まれている。

Tリーグの松下理事長は「中国は3歳くらいから国や省を挙げて強化するシステムがある。初期段階から小学生までがすごく重要。日本は、今までは親に任せている部分があったが、これからはリーグで育てる環境を作りたい」と話す。

リーグは、ドイツのプロリーグに倣いトップリーグを頂点にしたピラミッド型の構想を描く。2部、3部は25年までに設立。既存の地域のクラブなどと連携し、ランクによってレベルに合ったプレーができる環境を整えながら、年齢に関係なく、強くなれば上に上がれるシステムも構築していく。松下理事長は「卓球人口は日本協会に登録している人以外も含めれば60万~70万人はいる。その人たちをピラミッドに取り込みたい」とビジョンを口にした。

卓球文化が根付けば、地域社会に貢献でき、普及につながる。職域が拡大することでセカンドキャリアにもつながっていく。「現在は引退した選手がほとんど卓球の仕事に就けないのが現状。経験と技術を伝える環境も整備したい」(松下理事長)。卓球界の未来を担う新リーグがついに幕を開ける。【松末守司】(おわり)