ショートプログラム(SP)5位の紀平梨花(16=関大KFSC)がGPシリーズデビュー戦でトリプルアクセル(3回転半)を成功させた。フリーでは154.72点を出し、SPとの合計224.31点と、今季最高の高得点を出して優勝した。GPデビュー戦優勝は日本勢初の快挙だった。

序盤から3回転半と2回転トーループのコンビネーションを決めた。続けざまに単発の3回転半も成功。演技後はガッツポーズで喜びを素直に表現した。

「まだ信じられないです。これだけ心からうれしいのは初めて。(ガッツポーズは)せずにいられなかった。自然と出た」。

GPデビュー戦の幕開けとなった9日のSPは、冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で転倒。踏み切るタイミングが早く「1戦目でこけてしまった!」と瞬時に悔しさがわき出た。意外にも原因は、3回転半が好調だったことにあるという。当日の公式練習まで「確率良く跳べていたので、気にしていなかった」と口にした。

シニアデビュー戦となった9月のオンドレイ・ネペラ杯では、国際スケート連盟公認大会で浅田真央以来、女子2人目となるフリー2本の3回転半に成功。それから約1カ月半の月日が流れたが、今大会前にも「調子はオンドレイ・ネペラから変わらずいいので、トリプルアクセルを決められるように、調子の良さを保って、試合に向けて頑張りたい」と意気込んでいた。

SP前の公式練習では踏み切りのタイミングが徐々に早まっており「少しゆがんだジャンプが多い」と自己分析していたという。だが、あえて「あんまりに気にしないように」とそれまでの流れを大切にし、本番で転倒という結果が残った。「朝練からしっかりと(3回転半を)確認して、不安がないようにしたい」とフリーに向けて反省。一夜明け、10日午前の公式練習では16本中11本の成功を収め、冷静な修正でフリー本番に臨んだ。

「ジャンプが飛べて本当にうれしい。昨日の成績からこのまま終わってしまっていいのかなと。絶対跳ぶと気合いを入れて臨んだ。本当にいい経験。すごい思い出に残る大会。これ以上の演技をするため集中して練習したい」。

次戦はGP第6戦のフランス杯(11月23~25日、グルノーブル)。GPデビュー戦優勝の快挙の学びを、2戦目に生かす。