世界9位の錦織圭(28=日清食品)が、1ゲームしか奪えない自身最悪のスコアで完敗した。1ゲームしか奪えなかったのは、過去最少奪取ゲーム数で、08年ストックホルムオープン準決勝以来2度目の悪夢だった。

錦織は「うまくコントロールができない」と、今大会の使用球を苦手としているという。錦織が過去5年に出場した大会で使われた使用球を調べてみた。全部で8社。その内の2社は、5年間で1大会にしか使われていないため除外すると、錦織が5年間で出場した大会で、常時使用されているのは6社になる。

今大会の使用球を仮にA社とすると、A社を使用球とした大会での錦織の勝率は15勝13敗で、約5割3分6厘。最も勝率が高いのは、全豪や全米で使われるB社で、63勝16敗で約7割9分7厘だ。他の4社も、すべて7割以上の勝率で、A社の勝率の低さが際だっている。次が6社の勝敗と勝率。

A社=15勝13敗。5割3分6厘(ATPファイナルなど)

B社=63勝16敗。7割9分7厘(全豪、全米など)

C社=64勝19敗。7割7分1厘(楽天オープンなど)

D社=47勝19敗。7割1分2厘(マイアミオープンなど)

E社=15勝6敗。7割1分4厘(全仏など)

F社=21勝8敗。7割2分4厘(ウィンブルドンなど)

ただ、A社を使用球とするのは、ATPファイナルやパリマスターズが主で、250大会とは違った出場選手の層の厚さがある。使用球との関係よりも、トップ選手との戦いで勝率は落ちる傾向が高い。また、コートの得手不得手もあり、一概に、使用球の違いだけで好不調を判断するわけにはいかない。ただ、勝率だけを言えば、A社が低いのは事実だ。

ちなみに、錦織がトップ10に勝った試合での使用球を調べてみた。個人戦でのトップ10勝利は、今大会の第1戦でフェデラーに勝ったのを入れて38回。最多勝はA社、B社の11回で、C社の10回が続く。これを見ても、簡単にA社との相性が悪いとは判断できないだろう。