【ロンドン=吉松忠弘】世界9位の錦織圭(28=日清食品)が、1次リーグB組最終戦に準決勝進出をかける。同6位のケビン・アンダーソン(32=南アフリカ)に1ゲームしか奪えない最悪の敗戦を喫し、通算1勝1敗。日本時間15日午後11時以降に行われる同8位のドミニク・ティエム(25=オーストリア)との一戦に4強入りがかかる。対戦成績は3勝1敗。来年1月の全豪での上位8シード入りにも、絶対に負けられない一戦となる。

落ち込んでいる暇などない。08年ストックホルムオープン準決勝以来、テニス人生2度目の最少ゲーム数での敗退。錦織は「なるべく今日のことは忘れるしかない。ポジティブにいきたい」と、気持ちを振り切って、次戦に挑むつもりだ。

フェデラー戦、アンダーソン戦とも、得意のストローク戦に持ち込めない。ラリー数が少なく、錦織は「焦らされてしまう。リズムがつかめない」と悔やむ。しかし、ティエムは同じストローカーだ。「(ラリーができる)時間がある選手。勝てるチャンスがある」と、前向きにとらえた。

ティエム戦に勝てばいいだけの、自力での準決勝進出はなくなった。ただ、どのような形でも勝って、続く試合でアンダーソンがフェデラーに勝てばB組2位通過が決まる。敗れても1セットを奪えば、アンダーソン勝利で同じく2位通過となる。

ティエム戦での勝敗は、来年1月の全豪オープンでのシードにも影響を及ぼす。現在、8位ティエムと9位錦織の世界ランクの得点差は505点。今大会はリーグ1勝に付き200点が入るため、錦織が2勝で400点を獲得し、ティエムが全敗なら、その差は105点に縮まる。

全豪で上位8シード入りになれば、準々決勝までランク下としか対戦しない。悲願の4大大会優勝のためにも、そして今大会の準決勝進出にも、負けられない一戦だ。「しっかり練習するしかない」。世界一といわれる修正能力を、今こそ発揮する時が来た。

◆日東電工ATPファイナル 70年に始まった男子ツアー最終戦。年末世界ランキング上位8人に出場資格があるエリート大会。8人を4人ずつ2組に分け、各組で総当たり戦。各組の上位2人が準決勝に進み、トーナメント方式で優勝を争う。出場料で20万3000ドル(約2230万円)。1次リーグ1勝につき同額がもらえ、5勝全勝で優勝すれば271万2000ドル(約2億9800万円)を獲得できる。