フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第5戦ロシア杯の公式練習が15日、モスクワの会場で行われた。前日夕方に現地入りし、会場で初の練習に臨んだ羽生結弦(23=ANA)は、フリー「Origin」を披露。冒頭の4回転ループが3回転となったものの、その後のジャンプをすべて着氷した。

40分間練習の終盤は、ミスがあった4回転ループを5連続で跳びジャンプの修正をするほか、ステップなど1つ1つの動きを丁寧に確認。時折笑顔もみせながら、リラックスした様子で調整を終えた。練習後には滑走順抽選が行われ、羽生は最終の12番になった。

昨季はGP初戦のロシア杯で2位に入り、2戦目のNHK杯公式練習で右足首を負傷。GPファイナル進出を逃し、翌2月の平昌五輪まで痛みが長引く重症を負った。この日無事に練習を終え、「痛いところなく、今のところいい調整ができているかと思います」とうれしそうに話した。

GPフィンランド大会ではショートプログラム(SP)、フリー、合計ともに今季のルール改正後最高得点をマークして、GP初戦初勝利した。その内容を超えるために、「(ジャンプを)全部きれいにおりることが大事」。着氷まで完璧に決めることを目標に掲げた。

GPロシア杯は4度目。11-12年シーズンにはGP初勝利をあげ、昨季は初めて4回転ルッツを成功した。「このリンクにもいろんな思い出がある」。この日の練習前には敬愛する“皇帝”プルシェンコ氏のコーチ、アレクセイ・ミシン氏(77)に遭遇。練習中にはリンクサイドにいたタチアナ・タラソワ氏(71)から「頑張ってね。いつも見てるから」と声をかけられた。「自分がスケートやってきて、そういう方々のおかげでスケートを好きになれた。この地だからこそ、そういう方々が見ているからこそ、しっかり自分らしい演技をしなくてはいけないかなと思っています」。2人のロシアの名将に会い、あらためて思いを深めた。

今大会で表彰台にのれば、5度目の優勝がかかるGPファイナル(12月6日開幕、カナダ・バンクーバー)出場が決まる。