【ロンドン=吉松忠弘】世界ランキング9位の錦織圭(28=日清食品)が、18年のシーズンを終えた。同8位のドミニク・ティエム(オーストリア)に1-6、4-6で敗れ、通算1勝2敗。1次リーグB組敗退が決まった。

「とても納得がいってない」。第1戦でフェデラー(スイス)に4年8カ月ぶりの勝利を挙げたが、テニスの調子は最後まで上がらず。この日は、何とかしようともがくが、全く機能しないプレーに、何度もラケットを投げ捨て自身への怒りを表した。2週前のマスターズ・パリ大会後、5日間の完全休養を取った。そのためか、再び一からテニスの感覚を取り戻し、プレーを組み立てるのが間に合わなかったのかもしれない。

ただ、「十分すぎる1年だった」と、今年を振り返った。締めくくりこそ残念な結果に終わったが、右手首の腱(けん)の脱臼から復帰した年で、復帰初戦はツアー下部大会1回戦で世界200位以下に負けていた。それが年末上位8人だけが資格のある最終戦にまで出場。トップ10復帰で終えられたのは「奇跡にも近い」。

9月の全米オープンで4強以降、5大会で準優勝2回、すべて8強以上の成績を残せたのは「本当にいいテニスができていた」と、十分に手応えを感じている。来年1月14日開幕の全豪オープンには、今年、復帰が間に合わず欠場した。

現在の、世界ランキングの総得点には、今年の全豪を欠場した0点が強制加算されている。しかし、来年出場すれば、その0点に代わり、進出した回戦で得たポイントが加算される。上位に進出すれば、そのポイントが丸々加算だ。トップ5に戻る足がかりにも十分になるだろう。

ケガをし、長期離脱から復帰しても、消えていく選手が多い中、十分な1年だったと言える。錦織は、09年に右ひじの手術を行い、約1年、ツアーから離脱した。今回は、長期離脱からの2度目の復帰になる。来年は、錦織にとって、2度目の新たなシーズンが幕を変える。