シニア1年目の紀平梨花(16=関大KFSC)が初出場優勝の快挙を飾った。女子ショートプログラム(SP)に続き、フリーも1位の150・61点をマークして自己ベストの合計233・12点を記録。平昌(ピョンチャン)オリンピック(五輪)金メダルで前回女王のザギトワを総合力で上回り、ロシア勢5連覇を阻止した。

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紀平選手のトリプルアクセルは助走からジャンプ、回転、ランディング、そして降りた後の流れ、と一連の動作に無理がなく、特にバランスが取れていると思います。余裕をもって跳べるので力が1つの部分に偏っているように見えません。彼女はもともと確かなスケーティング技術を持っていた印象があります。一蹴りに伸びがあり、スケート靴のエッジも正確に深く使えることができます。その美しい滑りの上に、ジャンプの技術がのっている印象です。

失敗した最初のトリプルアクセル以外は全て加点をもらいました。高評価の1つの理由として身体的な強さが挙げられます。体幹を鍛えているので1つ1つのポジションが美しく、ジャンプもスピンも軸がしっかりしている。スケーティングも筋肉の力を下半身にうまく伝え、力強くかつしなやかに滑ることができています。また、スタミナがあるので最後までスピードも落ちません。流れるような演技が高いGOE、演技構成点につながっています。

今季は一戦ごとに成長している印象で、伸びしろもまだまだあります。今季後半戦の戦いがどうなっていくのか、自信と経験をつけた紀平選手の進化に期待したいです。(八木沼純子・カルガリー五輪代表)