2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会が、メダリストに渡す副賞に「ビクトリーブーケ」を採用する方針を固めたことが12日、分かった。

今後、事務レベルで計画を策定した後、国際オリンピック委員会(IOC)に報告し、了承を得る段取り。

副賞にブーケが選ばれるのは14年ソチ冬季五輪以来、3大会ぶり。16年リオデジャネイロ五輪では大会エンブレム型のメダル置き、18年平昌冬季五輪(ピョンチャンオリンピック)では平昌の山々を形にしたオブジェが副賞だった。IOCがリオ五輪以降、副賞について「持ち帰れるものにすべき」と、各組織委員会に指導していた経緯がある。

ただ、IOCの内規には、副賞はビクトリーブーケとする記述があり、ソチ五輪以前は長らく、ブーケが採用されていた。関係者によると、IOCとの協議により、20年東京大会ではその内規が優先される形となった。

ブーケは生花で作られるため数日後には枯れてしまう。そのため、選手が母国に持ち帰れる付属品をブーケに添える案を検討している。

陳情活動を続けてきた日本花卉(かき)振興協議会は、五輪・パラを通じて約5000個のメダルと同数のブーケを無償提供すると提案してきた。今年同様、20年夏も猛暑が懸念されることから、生花だけに冷蔵保存も必要となるため、業界は冷蔵庫の準備や配送、スタッフ面も無償で提供するとアピールしてきた。組織委は今後、その提案が実際に実行できるかを業界団体と詰めの作業に入る。

副賞には陶磁器業界も要望活動に力を入れてきた。富士山や桜など、日本を象徴する絵を入れた陶額を第1候補に、積極的にアピールしてきたが、副賞には採用されなかった。他にもオリーブの冠や、真珠など、さまざまな産業界が名乗りを上げていた。